
「通信制高校に行きたい。でも、言ったら反対されそうで言い出せない」
「三者面談が近づいてきた。何をどう話せばいいのかわからない」
先に結論からお伝えします。三者面談は、進路を「決める場」ではありません。「議題に載せる場」です。
15分から20分の面談で、相手の考えを変えることはできません。そこを目指すと、たいてい失敗します。そのかわり、「この子は本気で考えているらしい」と伝えることはできます。 それができれば、話は次に続きます。
この記事では、反対の3つの種類とその見分け方、面談の前にそろえておきたい答え、実際の伝え方の例文、そして反対されたときの次の一手までをお伝えします。
なお、この記事は生徒本人と保護者の両方に向けて書いています。保護者の方に読んでいただきたい章も、後半に置いています。
結論:三者面談は「決める場」ではなく「議題に載せる場」
三者面談には、時間の制約があります。多くの学校で1人あたり15分から20分。先生は次の面談が控えています。
この短い時間で、通信制高校のしくみを説明し、相手の不安をすべて解消し、合意を得る。それは現実的ではありません。
だから、面談の目標をこう置きかえてください。
「通信制高校を、検討の対象として認めてもらう」
反対されなければ成功、ではありません。「じゃあ一度見に行ってみるか」まで進めば、大きな前進です。結論は、2回目の面談や年末の話し合いに持ち越せます。
中学校の三者面談は、多くの場合11月ごろと12月ごろの2回あります。1回目で議題に載せ、2回目で方向を決める。 この配分で考えると、気持ちがずいぶん楽になります。
反対には、3つの種類があります

「反対された」とひとまとめにすると、次に何をすればいいかわかりません。反対の中身を、3つに分けて考えてみてください。
① 誤解による反対
「通信制は中卒扱いになるんじゃないか」「卒業できないのでは」「就職で不利になる」
これは、事実で解けます。相手が知らないだけだからです。
たとえば、通信制高校を卒業すると全日制と同じ「高等学校卒業」の資格になります。卒業証書に「通信制」とは書かれません。大学受験も就職も、同じ土台から始められます。
誤解による反対は、正しい情報を渡せば、その場で変わることがあります。いちばん解けやすいタイプです。
② 心配による反対
「家にいて、一人で勉強を続けられるのか」「昼夜逆転しないか」「友達ができないのでは」
これは事実の問題ではなく、あなたを心配しているということです。だから「そんなことない」と否定すると、かえってこじれます。
有効なのは、具体的な仕組みを見せることです。担任やメンターがいるか。レポートの提出をどう管理するか。相談の窓口はあるか。「一人で放り出される学び方ではない」とわかれば、心配は小さくなります。
心配による反対は、その場では解けないことがあります。時間をかけて、実際の体制を見てもらうのが近道です。
③ 価値観による反対
「高校は毎日通うものだ」「逃げてはいけない」「まだ頑張れるはずだ」
これがいちばんむずかしいタイプです。事実でも仕組みでも動きません。相手の育ってきた前提そのものだからです。
ここで大事なのは、その場で勝とうとしないことです。価値観は15分では変わりません。言い合いになると、進路の話ではなく親子げんかになって終わります。
このタイプには、時間と、第三者の言葉が効きます。説明会で学校の人から聞く、同じ学び方を選んだ人の話を読む。あなたの口から言うより、外から入ってくる言葉のほうが届くことがあります。
まず、相手の反対がどのタイプかを見きわめてください。 それによって、次の一手が変わります。
面談の前に、3つの答えをそろえておく

準備するのは長い説明ではありません。次の3つに、自分の言葉で答えられるようにしておいてください。
① なぜ、その学び方がいいのか
いちばん大事な質問です。ここが弱いと、ほかを準備しても通りません。
ポイントは、「いまがつらいから」だけで終わらせないことです。それは本当の理由かもしれませんが、大人は「逃げ」と受け取ってしまうことがあります。
つらさは事実として伝えたうえで、「そのぶんの時間を何に使いたいか」まで言えると、話が前を向きます。
② 卒業したあと、どうしたいのか
決まっていなくて大丈夫です。ただ、「何も考えていない」と「まだ決まっていないけれど、考えている」は、伝わり方がまったく違います。
「大学に行きたい」「専門的なことを学びたい」「まず働いてみたい」「これから探したい」。どれでも、自分の言葉になっていれば十分です。
③ 学費は、どうなるのか
保護者にとって、ここは避けて通れません。先に触れておくと、信頼されます。
入学金、授業料、施設費。就学支援金の対象になるかどうか。支援金を差し引いたあとに、実際にいくら払うのか。 説明会や個別相談で数字をもらって、紙で見せられるようにしておくと強いです。
三者面談での伝え方【例文つき】

ここからは、実際の言い方です。そのまま使う必要はありません。自分の言葉に置きかえて使ってください。
切り出し方
長い前置きはいりません。最初に結論を言います。
「高校のことなんですが、通信制高校を考えています。全日制も見たうえで、自分にはこっちが合うと思っています。一度、説明会に行ってみたいです」
「考えています」「行ってみたい」という言い方がポイントです。「行きます」と言い切ると、その場で賛成か反対かの勝負になります。検討の段階として出すと、相手も検討で応じやすくなります。
「どうして?」と聞かれたとき
準備した①の答えを使います。
「教室で一日過ごすのが、自分にはしんどいときがあって。そのぶんの時間を、やりたいことの勉強にあてたいと思っています」
つらさと、その先にしたいこと。両方を短く。長く説明しようとすると、言い訳に聞こえてしまいます。
「もっと頑張れるんじゃないか」と言われたとき
これは価値観による反対です。真正面から反論しないでください。
「頑張らない、という意味ではないです。頑張る場所を変えたいと思っています。通信制でも、卒業には74単位とらないといけないので、やることはあります」
「逃げ」ではなく「選ぶ」。 この言いかえを覚えておくと、いろいろな場面で使えます。
「進学や就職で不利になる」と言われたとき
これは誤解による反対です。事実で返します。
「調べたんですが、卒業したら全日制と同じ高校卒業の資格になります。大学受験もできます。そのあたり、説明会でもう少し詳しくきいてこようと思っています」
言い切らず、「きいてこようと思っている」で締めるのがコツです。次の行動につながります。
その場のしめ方
決着しなくて大丈夫です。次につなげて終わります。
「今日決めなくていいので、まず一度、説明会に一緒に行ってもらえませんか」
具体的な、小さいお願いで終わる。 これが面談のいちばん良い終わり方です。
先生は、敵ではありません
三者面談でつまずきやすいのが、先生との関係です。
先生が通信制に慎重な反応をすることがあります。ただ、その多くはあなたを否定しているのではなく、情報を持っていないからです。中学校の先生が担当してきた進路の大半は全日制で、通信制の詳しい事情まで追えていないことがあります。
だから、説得しようとしないでください。かわりに、こう頼んでみてください。
「通信制のことをもっと知りたいので、資料とか、相談できるところがあれば教えてもらえませんか」
先生を説得の相手ではなく、情報をくれる人として扱う。 これだけで関係が変わります。先生は進路指導のプロです。味方につけたほうが、ずっと早く進みます。
なお、もしいま学校に行くのがつらい状態が続いているなら、進路の話の前に、先生やスクールカウンセラーにその状況を伝えておくことをおすすめします。前提が共有されていると、進路の話も通じやすくなります。
反対されたときの、次の一手

その場で反対されても、そこで終わりではありません。次にできることが4つあります。
① 一緒に説明会に行く
いちばん効きます。あなたが百回説明するより、学校の人が一回話すほうが伝わります。
保護者と一緒に参加できる説明会は多くあります。個別相談なら、保護者の質問にその場で答えてもらえます。「反対しているから連れて行けない」と思うかもしれませんが、「反対でもいいから一度見てほしい」という頼み方ならできます。
② 紙で見せる
口で言うより、資料のほうが信用されます。パンフレット、学費の内訳、卒業までの流れ。紙になっていると、話が「気分」から「検討」に変わります。
③ 手紙にする
面と向かって話すと感情的になってしまう場合、書くという方法があります。落ちついて順番に書けますし、相手も一人で読めます。言いにくいことほど、文字のほうが届くことがあります。
④ 時間を置く
1回目の面談で反対されても、2回目があります。そのあいだに説明会に行き、資料を集め、もう一度話す。このために、秋のうちに動きはじめることが大事なのです。
12月に初めて切り出すと、時間が足りません。9月や10月に一度議題に載せておけば、考えてもらう期間が生まれます。
保護者の方へ:お子さんが通信制を希望したとき
お子さんから「通信制に行きたい」と言われたとき、とまどうのは自然なことです。
お伝えしたいのは、その言葉は、かなりの覚悟を持って出てきているということです。反対されるとわかっていて、それでも言った。その前に、何週間も言い出せずにいたかもしれません。
お願いしたいことが3つあります。
① 最初の返事を、否定から始めない
「何言ってるの」「そんなの認めない」。この一言で、子どもは相談することをやめます。以降は、こちらの見えないところで進路を決めようとします。
「どうしてそう思ったの」から始めてください。それだけで、対話が続きます。
② 一度、一緒に見に行く
見に行っても、決めたことにはなりません。判断はそのあとで大丈夫です。
ただ、見ないまま反対すると、子どもは「知ろうともしてくれなかった」と受け取ります。この記憶は長く残ります。
③ 学費の範囲を、先に伝える
出せる金額をはっきり伝えておくと、子どもは現実的に選べます。合格したあとに「その学校は無理」と伝えるほうが、ずっとつらい思いをさせます。
それでも折り合えないときは
正直にお伝えします。一度の話し合いで、きれいに解決しないこともあります。
未成年の進学には保護者の同意が必要です。最終的に折り合えなければ、希望どおりにならないこともあります。それは、現実として知っておいてください。
そのうえで、2つだけお伝えします。
1つめ。納得しないまま進んだ高校生活は、あとから効いてきます。 「行きたくなかった学校に通っている」という感覚は、3年間ついてまわります。だから、いま話し合う価値があります。面倒でも、気まずくても、いまのうちに言葉にしておいてください。
2つめ。行き先は、一度きりではありません。 全日制に入ってから合わなければ、転入という方法があります。単位も在籍期間も引き継げます。いまの選択がすべてを決めるわけではありません。
そして、一人でかかえこまないでください。 学校の先生、スクールカウンセラー、通信制高校の個別相談。話をきいてくれる大人は、思っているより多くいます。
雨ニモマケズ高等学校について
雨ニモマケズ高等学校は、2027年4月の開校を予定している広域通信制・単位制の普通科高校です。運営は学校法人 幸和学園、校長は元吉本興業ホールディングス会長の大﨑洋です。
コンセプトは「人生、急がないための学校」。競争や評価に追われる毎日から少し離れて、自分のなかの声を取り戻す。その「余白」を大切にする学校を目指しています。
保護者の方だけの相談も、本人だけの相談もできます
個別相談は、保護者の方だけでも、本人だけでも受け付けています。
「反対しているけれど、話だけきいてみたい」。そういう入り方でまったくかまいません。学び方のしくみ、卒業までの流れ、学費の考え方。三者面談で必要になる情報は、ここでそろえられます。
「どう伝えればいいか」の相談も、お受けします。 同じ悩みを持つ方は、少なくありません。
3つの主要キャンパスと、年2回程度のスクーリング
主要キャンパスは、広島・大阪・東京の3拠点です。いずれも街の中心にあり、市民・企業・行政と関わりやすい立地を選んでいます。スクーリングは、この主要キャンパスで年に2回程度を予定しています。
※募集要項(出願の時期・条件・選考の方法)、学費の詳細は現在準備中です。確定した内容は、説明会や公式サイトで順次ご案内していきます。
なお、2027年4月の開校前のため、まだ在校生はいません。いまは準備を進めている段階です。開校時期や各準備の詳細は状況により変わる可能性があるため、最新の情報は公式の発表をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 三者面談で、通信制を希望していると言っても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。むしろ、早めに伝えておいたほうが考えてもらう時間が生まれます。ただし、その場で結論を出そうとせず「検討している」という形で出すと、話が進みやすくなります。
Q. 親に反対されています。どうすればいいですか?
A. まず、反対の中身が誤解・心配・価値観のどれかを見きわめてください。誤解なら事実で、心配なら仕組みを見せることで解けます。価値観による反対には時間がかかるため、一緒に説明会に行くのがいちばん近道です。
Q. 先生が通信制に詳しくなさそうです。
A. 説得しようとせず、「資料や相談できるところを教えてほしい」と頼んでみてください。先生は進路指導のプロなので、味方になってもらったほうが早く進みます。
Q. 面と向かって話すのが苦手です。
A. 手紙という方法があります。落ちついて順番に書けますし、相手も一人で読めます。言いにくいことほど、文字のほうが届くことがあります。
Q. 「逃げているだけ」と言われました。
A. 「頑張る場所を変えたい」と言いかえてみてください。通信制高校の卒業にも74単位の修得が必要で、やるべきことはあります。学び方を変えることは、逃げることではなく選ぶことです。
Q. 保護者だけで相談することはできますか?
A. できます。雨ニモマケズ高等学校では、保護者の方だけの個別相談も、本人だけの相談も受け付けています。
Q. 反対されたまま、全日制に進むことになりました。
A. その場合でも、あとから転入という方法があります。修得した単位も在籍期間も引き継げるため、3年間をやり直すことにはなりません。いまの選択が、すべてを決めるわけではありません。
まとめ:その場で勝とうとしないでください
三者面談は、進路を決める場ではなく、議題に載せる場です。15分で相手の考えを変えることはできません。「一度見に行ってみよう」まで進めば、十分な成果です。
準備するのは3つ。なぜその学び方がいいのか。卒業後にどうしたいのか。学費はどうなるのか。この3つに自分の言葉で答えられれば、話は前に進みます。
そして、反対されても終わりではありません。一緒に説明会に行く。資料を見せる。手紙を書く。時間を置いてもう一度話す。打てる手は残っています。
雨ニモマケズ高等学校では、本人だけの相談も、保護者の方だけの相談も受け付けています。どう伝えればいいか迷っていることも含めて、きかせてください。まっています。